羨望と嫉妬の欠落
負の感情の欠落
人を羨ましい、妬ましいと思う感情がある。
きっとそれは多くの人に沢山訪れる感情なのだと思う。
とても残念な事に、私にはその感情があまりにも欠落している。
こう言うと「欠落」と表現するのはおかしい。ただの自慢だ。と感じるかもしれない。
だがとても残念な事に、私にはこれが「欠落」以外の何物にも感じられない。
人間らしいと言われる「負の感情」があまりにも自分に足りない時、
私は自分が人間なのかどうかを疑わしく思う。
睡眠を欲し、腹が減り、血が流れ涙を落とすこの身体で、
周囲の人間と同じ構造を持って生まれた筈のこの身体で、
考え方や感じ方だけが著しく他人とすり合わない事が酷くおぞましい。
いっそ化け物だと言われた方が合点がいく程、
既に死んでいるのだと告げられた方が安堵する程、
世の中との違いに日々苦しみ生きている。
そうして尚、「普通に擬態」し生きていく。
悲しいのは、それが自分に容易に出来てしまった事に他ならない。
人間に擬態した化け物は、幸せになれるだろうか。
私にはまだ、分からない。